サブカル

【映画】「竜とそばかすの姫」について好き勝手考察してみた

2021年8月24日

こんにちは、ハッピーエンド大好きオタクのすずきです!

先日、細田守監督最新作「竜とそばかすの姫」の感想記事をアップしました。

竜とそばかすの姫
【映画鑑賞録】『竜とそばかすの姫』を観ての感想をネタバレありで綴る

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本当は考察まで書くつもりだったんですが、長くなりそうだったので別にしました。

考察とはいっても、難しいことは考えられないのであくまで個人の考察というか思ったことを、自分の言葉で整理したくて書いてます。

すずき

それではさっそくいってみよう!

インターネットは人を傷付ける刃にもなれば、人を救う光にもなる

竜とそばかすの姫_U
物語の舞台である仮想空間"U"「竜とそばかすの姫」より (C)2021 スタジオ地図

「竜とそばかすの姫」では全世界で50億人がユーザー登録しているインターネット空間"U"が舞台の1つとなっています。「サマーウォーズ」のオズを思い出しますね

そんな本作はインターネットの光と闇を本当によく描写してると思う。

インターネットの闇の部分としては、ネット上の誹謗中傷や正しくもない情報で人を振り回す・振り回されるところが強調されて描かれてたと思います。

自分自身もそうなんですけど、インターネット上の、特にSNSとかでの発言ってそこまで深く考えて発信することって少ないと思うんですよね。その時、その瞬間考えた自分の意見をすぐに発信しやすいっていう特性があるからだと思うけど。

それから、発信しやすいって特性も関係して情報が溢れ返ってるんですよね。そしてその情報が本当に正しいか確認をせずに広めてしまう、なんて場面もよく見るやつですよね。

そういった私たちにとって日常のようなインターネット上の光景を忠実に表現してるのは、インターネットに触れるのが当たり前になってきている子どもたちへ「インターネットはこういう危ないところがあるよ!」って伝える意図もあるのかな。当たり前にインターネットに触れて日々情報を発信したり、受信したりしている私たち大人へも「あなたの発言の先には誰かがいるんだ!」「不確かな情報に流されないで」ってことも改めて伝えようとしているんだと思う。
細田守監督の作品は、家族で観るって方も多そうですしね。家族でインターネットとの付き合い方を考えるきっかけにする意図もあったりするのかな。

ただ、インターネットも悪いことばかりじゃない。


すずは、ベルとしてもう一度人前で歌えるようになった。そして、片田舎の女子高生が世界的な歌姫になった。
ベルの前に"U"内で人気の歌姫だったペギースーも、きっと普通の女の子だったと思う。

現実世界ではできなかったことも、インターネットでなら叶えられる可能性がある。

そして、ひとりぼっちだったすずと恵くんが出会うことが出来た。互いが互いに救われた。

現実世界では会えなかったであろう誰かに、出会える可能性がある。

自分の意見を発信しやすく、様々な人が接続しているインターネットだからこそ、出来ることがある。
そんなインターネットの可能性も本作は示してるんだと思う。

すずき

私自身、ネット上で自分と同じ趣味を持った友達と出会い、10年近くつるんでいます!
ネットがあったからこそ、今の友達と出会えたんだなと感謝しています

インターネットの闇も光も描いたうえで、インターネットの可能性を監督は伝えようとしてるんじゃないかなって思ってます。

”おかあさんの愛”という概念

お母さんの愛

すずの幼なじみであるクールイケメンな男子高校生、しのぶくん。すずのお母さんが参加している頃からすずを見守ってきた聖歌隊のマダムたち。

一見共通点のないように見える彼らですが、ある共通点があります。それは、

しのぶくんも、合唱隊の皆さんも、すずのお母さん代わりだということ。

しのぶくんについては、ルカちゃんが「なんだかすずちゃんのおかあさんみたいだなって」と言及しているし、小説の方では聖歌隊の皆さんがすずのお母さん代わりだと思っていたと発言しています。(聖歌隊の皆さんのお母さんがわり云々のところ、映画内でもあったかちょっと定かじゃないけど…)

根拠ってほどでもないけど、個人的に「あーこういうところが”おかあさん”だな」ってところが4つあります。

  • すずの様子を気にかけ、すずの変化に気が付く
  • すずの意志を尊重し、背中を押す
  • すずのピンチに駆けつける
  • "ベル=すず"だと気付く

これ、細田守監督が描く”おかあさん”なんじゃないかな?
子どもの変化に気付く、子どもの背中を押す、子どものピンチには命がけでも駆けつける、そして姿形が変わっていても我が子だと気付くっていう。

母性愛とはちょっと違う気がするんだけど、こういう”おかあさんの愛”って概念がこの作品のテーマの1つなんじゃなかろうかと思うのです。

あと、この”おかあさんの愛”は受け継がれていくものなんじゃないかと思う。

すずのお母さん、しのぶくんや聖歌隊のみなさんからすずへ、そしてすずから恵くんたちへ。

すずたちだけじゃなく、誰もが”おかあさんの愛”っていうのを誰かから受け継いでるんじゃないのかな。それが本当のお母さんでも、そうでなくとも。

とすると、恵くんたちのお父さんとか”U”やネット上で誰かを攻撃する人たちは、この”おかあさんの愛”を受け継げなかった人たちなんじゃなかろうか。
愛が足りなくて、愛に飢えていて、誰かを貶めたり下に見ないと自分が保てないから、自分より弱い人を傷付けてしまうのかなと思った。

すずき

とある事情で「自己愛性人格障害」について調べたことがあって。子供の頃に過度に批判されたり、賞賛されたりすると、ありのままの自分を受け入れられなくて、自分を特別にみせようとしたり、他の人を過小評価したりするんだとか。(このページを参考にしたよ)

上手い表現が見つからないけど、この”おかあさんの愛”を描きたかったのかなと思いました。

美女と野獣と同じく「愛し愛されると呪いが解ける」のかも?

竜とそばかすの姫_ダンスシーン
ベルと竜のダンスシーン「竜とそばかすの姫」より (C)2021 スタジオ地図

感想記事でも書きましたが、「竜とそばかすの姫」は細田監督が「インターネット上の美女と野獣」と言っています。

ディズニーの美女と野獣のあらすじを端折って説明すると、「優しい心を忘れたことが原因で魔女に愛し愛されなければ解けない呪いをかけられ醜い野獣の姿となった王子が、町で変わり者扱いされている賢く心優しい美女ベルと出会うことで本来の優しさを取り戻し、互いが愛し合うことで王子は元の姿に戻り2人は幸せに暮らしました」という物語です。

この”愛し愛される呪い”っていうのが本作でも存在するんじゃないのかな。

ディズニーの美女と野獣では、野獣(王子)もベルもひとりぼっちだったけど、お互いの理解者ともいえる愛する人に出会った。これ、すずと恵くんにも重なるんだよね。

ベル(すず)は竜(恵くん)という自分の理解者と出会ったことで、人前で歌えないっていう呪いが解けた。もちろん、お母さんお父さん、しのぶくんたちといった人達から愛をもらっていたけれど、本質的な理解者が竜(恵くん)だったんじゃないかな。

そして、竜(恵くん)もまた、ベル(すず)の”おかあさんの愛”を受けて、「誰も助けてくれない、ひとりで耐えなきゃいけない」っていう呪いから解放されたんじゃなかろうか。

本当、細田監督は美女と野獣大好きなんだなって思いました。

結局、すずはしのぶくんと恵くんどっちが好きなのか

個人的に一番気になったところです。映画内で明確な言及がなかったから、小説も読んでみました。

ルカちゃんの好きな人はしのぶくんと思ってたところにルカちゃんから恋愛相談のメッセージを受けたところ、しのぶくんと河川敷で会った場面でなんやかやあってすずはしのぶくんを置いて1人歩き出すんですけど、

でも止まらなかった。愛おしい気持ちが溢れてくる。

細田守『竜とそばかすの姫』株式会社KADOKAWA,2021年 より引用

って思ってるんですよね。小さい頃しのぶくんから「守ってあげる」と言われた時からずっと抱いていた気持ち。
けど、これが恋かと言われると分からないんですよね。なぜなら、竜へ向けた歌を考えている場面で、小説の方に

私は――、いや、ベルとしてのわたしは、竜のことが気になって仕方がない。間違いない事実だ。

でもそれを、中井さんが言うように、恋と呼ぶのだろうか?

わからない。

恋。

恋なんて、全く関係なく生きてきた。

細田守『竜とそばかすの姫』株式会社KADOKAWA,2021年 より引用

と書かれているんですよ。しのぶくんへの気持ちは、恋として認識していなかったのかな?

そして、竜とのダンスシーンでお互い見つめ合うとこでは、

戦いばかりの竜。戦いでないことをするのが、まるで何もかも初めてのように思えた。

そう思った時、わたしの中に、苦しいほどの愛おしさが芽生えたのを、はっきり自覚した。その想いのままに、竜の顔に手を添え、少しずつ顔を近づけた。

ゆっくり目を閉じ、唇を差し出した。

細田守『竜とそばかすの姫』株式会社KADOKAWA,2021年 より引用

って書いてあるんですよ!!!!映画内でもチューしようとしてたし!!!!ほら!!!!

竜とそばかすの姫_竜とベル
抱きしめ合うベルと竜「竜とそばかすの姫」より (C)2021 スタジオ地図

え、これ恋なのでは?愛の芽生えなのでは??

と、思いたいところだけどこのすずの気持ちが恋愛感情かははっきり書かれていない。この愛おしさは、”おかあさんの愛”なのかもしれないんですよね…。

その後小説を読み進めても、しのぶくんとすず、すずと恵くん間の気持ちの明確な描写はありませんでした。

けど、個人的にはしのぶくんからすずへのこれまでの気持ちはやっぱり”おかあさんの愛”が強いんじゃないかな。
すずから恵くんへの気持ちも”おかあさんの愛”なんだと思う。でも、

私はすずは恵くんに初めての恋心を抱いたと思いたい。

もっと言えば、竜とベルは末永く幸せに暮らしてほしい。(人外×人好きがゆえに)

まとめ

さて、思うがまま好き勝手に「竜とそばかすの姫」について考えたことを書き殴ってまいりました。
あくまで私個人の考えなので、おそらくほとんどが頓珍漢な推察だと思います。考えたことをどこかに吐き出したくて好き勝手書いてしまいました…。

「こんな考えもあるんだなー」くらいに見ていただければと思います。

最後に、

美女と野獣の野獣も、本作の竜も、みんな醜い醜い言うけど全然かわいくないか?

…失礼しました。

また何か映画を観たら感想や個人の考えを書いてこうと思います!それじゃまた!!

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